こんにちは、フォトグラファーのryuです。
今回はCANONのレンズについてのお話です。
このブログでは何度かお話していますが、私はCANONのRFマウントからSONYのEマウントへ移行しました。その経緯については以下の記事をご覧ください。
EFマウント時代から長年CANONのカメラを使い続けていたのでCANONのカメラとレンズには強い思い入れがあります。私と似たような人も多いと思います。
そんな長年のCANONユーザーがRFマウントへ移行すると困惑することの一つがRFレンズラインナップの特殊性です。
RFマウントは暗くてコンセプトの極端なレンズが非常に多い
一眼レフカメラで最大のシェアを有していたCANONですから、当然RFマウントでも無策でレンズの開発を行っているわけはありません。
確たる勝算があってのことだとは思うのですが、正直「今それ出さなきゃダメ?」と思ってしまうような変わったレンズが多いです。
個人的に変わってるなぁと感じたレンズは以下のレンズ達です。
RF200-800mm F6.3-9 IS USM |
RF100-400mm F5.6-8 IS USM |
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM |
RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM |
RF800mm F11 IS STM |
RF28-70mm F2 L USM |
RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM |
RF28-70mmは焦点距離と解放F値がF2と少し変わっているだけで一定の使い道はあるだろうなぁと感じるので良いのですが、他のレンズは正直使用シーンが限定されすぎているレンズが多いですし、そもそも焦点距離の王道の使い道すら怪しいレンズもあります。
例えばRF800mmF11なんかは超望遠の単焦点です。同じRFマウントの超望遠単焦点には800mmF5.6の超ド級レンズもあります。
800mmF5.6は実売価格で200万円を超える高嶺の花ですが、800mmF11は14万円程度と約14分の1の価格で購入することができます。
重さも800mmF5.6は3kgもあるのに対して800mmF11は1.2kgしかありません。
800mmF11にも一定の訴求力があるのは確かです。
しかし一体800mmF11で何を撮るのでしょう?
超望遠レンズで最も使われている用途としては恐らく野鳥や野生動物などの近付けない被写体の撮影です。そういった被写体は細かく動き続けている事が殆どなので、かなりの高速のシャッターを切る必要があります。
しかし解放F値が11のレンズで高速シャッターを切ったらISO感度が爆上がりしてしまうわけです。野鳥撮影なんかは如何に写実的に写すかの世界ですのでディティールの崩れる高感度撮影は極力行いたくありません。
カンカン照りの開けた場所ならばISO感度を低くできる可能性もありますが、少しでも曇ったり森の中に入っていったらもうお手上げになるのが目に見えています。
超望遠の入門用として用意したのは分かりますが、これでは入門者も思った写真が撮れず不満だけを残してレンズを売却してしまうのではないでしょうか。
100-400mmや100-500mmも同様で安くコンパクトに作ろうとしているの分かるのですが、本末転倒なレンズになってしまっている気がしてなりません。
他のレンズにおいても他社同程度のレンズと比較しても1/3~1段程度暗くなっているものや可変式になっている物が多くみられます。
F値が暗いとISO感度が上がってしまうこともモチロンですし、ボケも控えめになったり、そもそもレンズが最も解像するのは絞りを少し絞った状態ですので明るいレンズと比べて同じF値で撮っても画質が劣ってしまうことも多いです。
安価で暗いレンズは実は難易度が高い
恐らくCANONが暗くて軽くて安価なレンズばかりラインナップするのは一眼カメラの門戸を広くしようとしているのと、既存ユーザーを今までは中々手が出なかった焦点距離へ誘導しようとしているのだと思います。
今まで400mmF2.8や600mmF4で撮影していた人が100-400mmや800mmF11を常用するようになるとは中々考え辛いですからね。
となると今回列挙した暗いレンズを使うのは初心者-ステップアップしたばかりの中級者くらいなわけですが、前述の通り暗いレンズはISO感度やシャッタースピード等の管理が非常に難しくなります。
しかも野鳥や動物のような動体となればその難易度は言うまでもありません。
広角レンズにしても星を撮ったり夜景を撮ったりする際にレンズの暗さはネックになります。カメラは光しか写し取ることができませんのでレンズが暗いとその難易度は一気に上がるのです。
これらを焦点距離の初心者に勧めるのは少し残酷ではと思わずにはいられません。
最近のカメラの高感度耐性が上がったと言ってもノイズは出る
こういった暗いレンズを擁護される際の決まり文句の一つが「最近のカメラは高感度耐性が昔のカメラと比べて上がっているから暗くてもいい」です。
カメラがフィルムからセンサーに変わったとてその大元となるのは「光」です。これは写真の不動の大原則でこの先も変わることは無いでしょう。
これからもセンサー性能やAIノイズ除去の性能はどんどん上がっていくでしょうし、そうなれば許容されるISO感度も上がっていくと思います。
しかし取り入れる光は大いに越したことはないのです。
だからこそ私はこれからも暗いレンズには「どうなんだろう?」って声をあげたいと思います。